こんにちはカリアゲです。
今年2月12日の朝7時50分。山形県酒田市立第一中学校に通う中学1年生(当時)の石澤準奈さん(13)が、多くの生徒が登校するなかで校舎4階から飛び降りて亡くなった。
「文春オンライン」取材班が現地で取材を進めると、準奈さんの死後、下駄箱に「死ね」「キモい」と書かれた手紙が置かれ続けていたことや、イジメに関するアンケートが学校によって改ざんされていたことが判明した。
準奈さんが亡くなって7カ月後の9月17日。学校が拒み続けていた保護者説明会が、中学校の体育館で19時から始まった
説明会には平日にもかかわらず300名を超える保護者らが参加した。
校長の説明中は静寂が流れていた体育館だったが、質疑応答となると、保護者の鬱屈した思いが一気にヒートアップした。準奈さんのイジメ被害を担任、学年主任、教頭、前校長が把握していた上で、加害者生徒への指導が行われていなかった点について、1年生の父親は怒りを露わにする。
「(イジメを)把握されていたにもかかわらず、その後(悪口が書かれた)メモが入ってないからそこで終わりだと。これは脅迫ですよね。『死ね』っていう脅迫ですよね。彼女に対して。保護者の方にも何ら説明もない、連絡もしない。これ、隠蔽と言わずして何ていうんですかね。保護者の方の気持ちになってみて考えていただけませんか。自分の息子の下駄箱に『キモい』『死ね』だのって入れられたら、私だったらどんなことしても犯人を探しますよ」(1年生の保護者)
「はい。そういうことに関しまして、本当に時期が遅れましたが、調査をこれからさせていただこうと考えております」(校長)
「この2月12日に自殺した準奈ちゃんが無念の思いで、覚悟を持ってこの学校の4階から飛び降りた。どんな思いだったのでしょう。特定の子に対するイジメ行為と思われるような行為が止まった時点で、そのイジメはもう終了という認識なんでしょうか? 私からすると、(保護者説明会を遅らせたのは)加害者とされるような人間たちに隠蔽、口裏合わせ、証拠の隠滅…その時間稼ぎをさせたに過ぎないと思うんですよ。
これから調査してもおそらくLINEの中身は全て消去。警察じゃないので、消したアプリの中身まで確認はできないですよね。今頃、後ろを向いてベロ出していますよ。『バレねえから大丈夫だ。調査しねえぞ。じゃあ次は誰のことやってやろうか』って、狙っていますよ」(前出の1年生の保護者)
「学校における環境の中で、全職員態勢の中で、できる限りの調査をしたというふうには考えております。ご指摘の通り、本当に細部にわたってわかったのかというふうなことになれば、今後調査をしていくということをまずここで申し上げておきたいと思います。遅れにつきましては、本当に申し訳ありません」(校長)
2年生の同級生の母親からは、学校も把握していなかった新たなイジメの証言も明らかになった。
「『死ね』『キモい』という紙が入っていた件についてです。その時がちょうど合唱祭の練習期間だということでしたけども、あの時、準奈さんは助監督となり、人一倍練習のときも一生懸命に取り組んでいました。
当時、ソプラノ、アルトパートに分かれての練習や合同での練習などをしておりました。準奈さんはうちの娘と同じソプラノパートをやっておりました。そして準奈さんはより(クラスが)良くなるようにいろいろと指導をしていました。
しかし、アルトパートの子たちから『調子に乗っている』など、文句を一部の人が言っていたよ、と教えてもらいました。
練習をするたびに嫌な思いをし、私も娘から相談されていました。当時とても、揉めていたことを担任の先生は知っていたのでしょうか。
当時の1年2組はとても問題が多く、一部の子によってのイジメ、あることないことを周りの子たちに言い、信じさせ、そのことがその子の信頼をなくさせ、ひとりぼっちにし、毎日面白楽しく生活をしていたという現状があります。ここで皆さんの前ではっきり言わせていただきます」(2年生の保護者)
「私の方で話を承知していない部分もありますので、確認をさせていただきたいと思います」(校長)
事件当日、校舎4階から飛び降りた準奈さんの第一発見者である同級生の母親は、「学校からの詳細な説明はこれまで一切ない」と涙声で不信感を打ち明けた。
「先生たちにお願いなんですけれども、学校であったことはすべて教えてください。子どもを送り出している以上、学校であったことは子どもと先生しか知らないんです。
うちの子は第一発見者でした。私が職場に行っているときに、当時1年生の主任の先生から『学校でちょっと事故が起きました。警察の方から娘さんに事情聴取をするので、保護者の同意が必要なので電話しました』と、それだけです、説明は。
まさか、こんなことが起こっているとは夢にも思いませんでしたし、どんなに子どもが不安だったと思いますか。
その電話一本だけで、何事かあったんだなと察知したから私は職場からすぐに向かいました。子どもたちがどんな思いで学校にいたか、亡くなった子の想いも、先生たちどうお考えですか」(2年生の保護者)
別の父親は、準奈さんの下駄箱に複数回も「死ね」「キモい」と書かれた手紙が置かれていた件について、独断で放置し続けた教職員の危機意識の欠如を指摘した。
「3、4回あって何でそこで止められないんですか。もう1回あったらってなんなんですか。3、4回やって気づいたんだったらそこで(犯人を)探すべきでしょう。だからこんなことになってしまったんでしょう。
先生たちが全員知っていて隠していたわけでしょう。ということは、せっちゃんは誰にも頼れなかったんですよ。同じ生徒からやられて、助けを求めるのは先生たちなんですよ。それがあなたたちグルだったんでしょ。それに対してどう思います? ただ謝ればいいんじゃないんですよ。はっきり答えてください」
「救える命だったんだよ!」と、怒声が鳴り響き、校長は学校側の不備を陳謝した。
「その……(イジメの)メモの件につきましては、本当にこう、対応につきましてはマズさがあったと私自身も本当にこう、思っております。悔やんでも悔やみきれない、本当に……」(校長)
「だから、(イジメで)この事件が起こったのかもしれないではないですか。違いますか」(前出の1年生保護者)
「因果関係につきましては、学校で調査したところ、それについてははっきりしていないということはございます」(校長)