こんにちはカリアゲです。
全国に6万8000軒もあるという歯科医院。なかでも、歯のホワイトニングや歯並びの矯正などを主に手掛ける『審美歯科』は、保険外となる治療も多く、料金も高額となるせいか、少し不思議な患者さんも多いという。
都内の一等地にある審美歯科で働いている歯科衛生士の杉谷美穂さん(仮名)は、「ほとんどは問題の無い患者さんなんですが……」と前置きしつつ語ってくれた。
トラブルが多いホワイトニング
私が勤めているクリニックでは、患者さんの8割が女性です。クリニックで取り扱っているセラミッククラウンなどは施術料も高額になるので、比較的、裕福な方が多いように感じます。
実業家の方とか、芸能人、あとは夜のお仕事をされている方も多いですね。そういった方々は日常的にVIP待遇されているのか、あつかいが難しいんです。
ウチは一応完全予約制なんですけど、来院したら診察券を出していただいて受付するというシステムなんです。なのに、ある患者さんは来院されてもなぜか受付しないで待合室の椅子にどっかり座って待っているんです。
スタッフが見かねて声をかけると『アタシのことわからないの?』という雰囲気で気分を害されてたりするので面倒です。有名なモデルの方なんですけどね。
セラミック治療やホワイトニングなどは、高額でしかも施術に時間がかかるということもあり、トラブルも多いという。
モメたのは、ある女社長さんですね。ホワイトニングだったんですけど、どんな方でも施術前にまずカウンセリングをするんです。その時に、工程を説明して、このくらい白くするにはこのくらいかかりますとか、ホワイトニング剤は沁みるので、事前に虫歯や歯槽膿漏などの治療も完了してくださいとお願いしました。
その方は軽度の虫歯があったので、その治療を終えて、歯石などのクリーニングもして、オフィスホワイトニングを開始したんですけど、薬剤を塗布したら数分で『痛い!痛い!』と叫んで大暴れ。
どうやら知覚過敏があったようで、そこにすごく沁みてしまったようです。
その女社長さんは『事前に知覚過敏があると言ったじゃない!』と怒って、こちらの施術の腕が悪いと猛クレーム。『院長を呼んで!』と言われ、『院長が施術してもこうなります』と何度説明しても理解してもらえない。
結局、料金を全額返還することになりました。
クレームが多い患者でも、医療機関である以上は通院を断ることはできない。そして、一度でも治療してしまうと、その付き合いも長くなるという。
「何年も通っていただいてるクラブのママさんがいるんですけど、いつも『治療費が高い』とかクレームが多いんですよ。それで怒って帰ったりするんですけど、そういう方に限って、すぐに差し歯や詰め物が取れたりする(笑)。他の歯科医に行っていただいても構わないんですけど、律儀にウチに通ってきていただいてます」
セクハラも多い
逆に、治療中なのに来なくなってしまう患者も困るという。
とある芸能事務所と契約しているんですけど、新人タレントさんが所属すると、まずは歯をキレイにということでウチにきていただいて、歯列矯正やホワイトニング治療を始めるんです。
それでも一気にはできないので、計画的に施術を進めていくんですけど、ある日突然来なくなってしまう。契約関係で揉めたとかなのかもしれませんが……。
事務所の方にも事情を話していただけないんで、詳しくはわからないんですけど、治療も中途半端で終わってしまうので心配ですね。
審美歯科に関しては、患者は殆どが女性だというが、最近は男性も増えてきている。そして、歯科衛生士の9割以上が女性。
そのためか、女性歯科衛生士に対して、男性患者からのセクハラのような事例もあるという。
「先生が奥歯の治療などをされる時、衛生士が指で口の周りを抑えて口腔を開いておくんですけど、この時に私の指を舐めてくる男性患者がいました。
口の中に異物感があって、それを確認する意味で舌で舐めてしまう、ということはあるのかもしれませんが、意図的にペロペロ舐めつづけてくるんです。気持ち悪いですし、治療によっては危険なのでやめてほしいですね」
患者ではなく客というか何様?
男性患者の中には、衛生士との“密着”を求めてくる患者もいる。
「施術中に、どうしても胸や身体の一部が患者さんにあたってしまうことがあるんですよ。ただ、男性患者さんの中には、シートに深く座り直して、体や首を伸ばして、より触れるような体勢にしてくる方がいますね。患者さん側はバレないように何気なく動いているつもりだと思うんですが、不自然な動きなので、こちらには全部バレてます」
体が触れたりしてなくても、男性患者が“反応”していることもあるという。
「エプロンをかけるんですが、股間のあたりが盛り上がっていて、いわゆる“テントを張った”ような状態になってる患者さんもいましたね……。これは生理現象でもあるので仕方ないですし、こちらも『テント張ってるな、何に興奮してるんだろう』と思うだけですけど」
審美歯科とはいえ、医師や歯科衛生士が行うのはれっきとした医療行為。患者側も「患者」ではなく、「客」という意識を持ちすぎて過剰なサービスを受けようとするので、そこにズレが生じてしまうのかもしれない。
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