パレスチナ自治区のイスラム組織「ハマス」とイスラエルの武力衝突による死者は1600人近くにのぼっていて、事態がさらに悪化する懸念もでています。
ハマスが7日におこなった大規模攻撃への報復として、イスラエルはガザにあるハマスの拠点などへの空爆や、ハマスの戦闘員の掃討作戦を続けています。ハマス側も断続的にイスラエルにロケット弾を撃ち込んでいて、イスラエルメディアはおよそ900人が死亡したと伝えています。
一方、パレスチナ側の保健当局はこれまでに687人が死亡したとしていて、双方の死者は1600人近くにのぼっています。
こうしたなか、ロイター通信によりますと、ハマスは9日「イスラエルが警告なしに民家を空爆するたびにイスラエル人の人質が処刑されることになる」という声明を出したということです。
イスラエルのメディアは、ハマスと別の武装組織がおよそ130人を人質にとり、なかには軍の高官もいると主張していると伝えています。
また、ロイター通信はパレスチナ自治政府の通信社を引用し、パレスチナが「ガザで進行中のイスラエルの攻撃」を阻止するため、国連に介入を要請したと報じています。
国連のグテーレス事務総長は、ハマスによる攻撃を非難する一方、イスラエルがガザ地区の包囲を命じたことについて懸念を示しました。
国連・グテーレス事務総長「イスラエルがガザ地区を完全に包囲するという本日の発表を受け、深く心を痛めている」 さらに国際社会に対しガザ地区への早急な人道支援を求めました。
イスラエルを攻撃しているハマスとは?
パレスチナ自治区を実効支配するハマスとは何なのか。 長い歴史の中で深刻な迫害に遭ってきたユダヤ人が、迫害のない環境を求め、1948年にパレスチナの地にイスラエルを建国した。しかし、そのことでもともとそこにいたパレスチナの人たちが故郷を追われることになった。
近隣の国に逃れた人もいれば、ガザ地区に住んでいる人たちも大勢いる。このことから、ガザ地区とイスラエルとの間には常に緊張感がある状態が続いている。 ハマスの誕生は1987年までさかのぼる。外務省によると、イスラム主義運動家でムスリム同胞団の最高指導者だったヤシン師がガザ地区を中心にイスラエルに対する抵抗組織を立ち上げた。
ハマスは「イスラム抵抗運動」という意味を持つ。 1967年の第3次中東戦争でガザ地区はイスラエルの占領下に置かれ、1995年からはパレスチナ自治政府が自治を実施していた。法務省公安調査庁によると、その間もハマスはイスラエルへの攻撃を続け、2002年にイスラエルに対して全面戦争を宣言した。
2005年2月にイスラエル・パレスチナ間で停戦合意が結ばれ、ハマスも停戦に応じた。 2006年6月にイスラエル軍がガザ地区を攻撃し、住民が殺害されたことを受け、ハマスは武装闘争を再開。翌年6月にこの地区を武力で制圧し、そこからハマスによるガザ地区の実効支配が続いている。
その後、2009年1月、2012年11月、2014年7月、2015年5月にイスラエル軍との間で大規模な戦闘を繰り返している。 アメリカやEU(欧州連合)、イギリスはハマスをテロ組織に指定している。日本は犯罪に資金が流れることなどを防ぐため、ハマスを資産凍結措置の対象としている。
ガザ地区はハマスをテロ組織に指定するイスラエルによって壁やフェンスなどで囲まれ、人や物資の流通が厳しく制限されている。封鎖状態にあることから「天井のない監獄」とも呼ばれている。
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